無限の田中

ただの小説です。気にしないでください。

二話 切支丹の田中 1547年

ひっくり返した海が、空から落ちてくるような、そんな雨の夜だった。山々の地盤が緩み、局地的な大災害とも呼べる雨の夜だった。 「共生など到底不可能さ。雨の日は太陽がいなくなってしまうのと同じだな。天気ならまだいい。事象として受け止めるからな。だ…

一話 小説家の田中 1962年

「リプリー・スクロールをご存知?」 煙草と香水が入り混じった、なんとも官能的な香りが漂う純喫茶にて、男女がテーブルを囲んで話している。 妖艶な女性を目の前にすると、どんな男も恐縮してしまうことは自明の理だろう。大きく揺蕩う胸がチラチラと視界…